副鼻腔炎

(気になる質問をクリックして頂ければ、回答を見ることが出来ます。)

私の子供が先日蓄膿と診断されました。蓄膿って治るのですか?

A:
蓄膿は正式には副鼻腔炎と呼びますが、鼻の周囲に洞穴の様な空洞があってそこを副鼻腔と呼びますが、副鼻腔に炎症が起こる病気です。
一番多い副鼻腔炎は風邪などを契機に鼻に炎症を起こしますが、最初は急性副鼻腔炎の状態で、この状態で鼻の異変に気づいてきちんと耳鼻咽喉科で適切に治療を行えば大半は1ヶ月から3ヶ月程度で完治します。
ところが、鼻の異変を風邪と勘違いして長い間放置したり、蓄膿は治らないものだと自己判断し、 治療を怠って慢性の副鼻腔炎に進行すると簡単には治らなくなります。
また、細菌が原因の副鼻腔炎ばかりではなく、喘息などのアレルギーと関連した副鼻腔炎や、虫歯が原因のもの、かびが原因のものなど特殊なものも簡単には治りません。
こういった簡単には治らない副鼻腔炎に対しては現在内視鏡による手術が盛んに行われており治療成績も良好です。
風邪が治っても2週間以上鼻水が続き、頭痛や頬の奥が痛いなどの症状がありましたら
早めに耳鼻咽喉科に受診をおすすめいたします。

飛行機に乗った後に強い頭痛がありました。脳外科では脳には異常はありませんでしたが副鼻腔炎と言われました。飛行機に乗った事と関係がありますか?

A:
副鼻腔は鼻の周囲にある空洞のことで鼻と細い穴でつながっており副鼻腔から鼻の方に空気が流れる仕組みになっています。
アレルギー性鼻炎や風邪などで鼻に炎症があると鼻の粘膜が腫れて副鼻腔と鼻をつなぐ連絡路が閉塞して副鼻腔は閉鎖空間になります。
飛行機などに乗ると気圧が変動しますが通常は鼻から副鼻腔に空気が入り外気圧と同じ気圧を保つことができますが、連絡路が途絶えてしまうと外気圧の変化に対応でき無くなります。
離陸時は外気圧が徐々に下がり相対的に副鼻腔内は圧が高い状態になりますが粘膜の腫れは柔らかいため副鼻腔内から徐々に空気が抜けて上空では副鼻腔内の圧はほぼ外気圧と近いレベルまで低下します。
ところが着陸時は副鼻腔の連絡路が弁の作用があるために鼻から副鼻腔に空気が入りにくいため副鼻腔内は上空の気圧のまま低い状態になり副鼻腔の粘膜が引っ張られて痛みが出てきたり、時には内出血の状態になることもあります。
対処法としては、着陸時の少し前に血管収縮剤などを点鼻したり痛みが出てきたら鼻をつまんで鼻から息を押し出すようにすると良いと言われております。
また飛行機に乗る前に鼻の症状がある場合には事前に治療を行って鼻の炎症を抑えておく必要があります。
一度でも経験のある方は事前に耳鼻咽喉科を受診しましょう。

子供が副鼻腔炎で通院しておりますが薬を飲んでくれないのでなかなかよくなりません。吸入に通うように言われましたが効果はあるのでしょうか?

A:
副鼻腔炎は鼻の周囲にある骨の空洞の副鼻腔に感染が起きる病気で、抗生剤を服用して治療します。こどもの場合はきちんと通院すれば比較的治りやすいのですが、抗生剤の味が悪いのでなかなか服用できないお子さんもいるのは事実です。副鼻腔炎に対しては病変部に鼻から直接薬剤を吸入して治療を行う方法があります。吸入液には内服薬より高濃度の抗生物質が含まれており内服薬と異なり下痢などの副作用も見られないことから内服薬と同等の治療効果が期待できます。特に痛みなどもありませんので慣れてくればお子さんでも容易にできる治療です。頻回に通院するのは手間ではありますが1,2週間行えばかなり改善することもありますので頑張って吸入してはいかがでしょうか?

先月子供が保育園に入園してから鼻水が続いており、熱も出て風邪薬をもらっておりましたが、なかなか改善しないため耳鼻咽喉科を受診しましたところ副鼻腔炎と言われました。さらに熱が出て、期限も悪くなり耳垂れも出てきて中耳炎にもなってしまいました。中耳炎の原因は副鼻腔炎なのでしょうか?

A:
風邪の多くはウイルスの感染により起こり、鼻水以外にも咳やのどの痛みなどの症状を合併し、通常は1週間程度で鼻水などの症状は改善します。
ところが、副鼻腔炎の場合は汚い鼻水が10日以上持続するため、長期間続く鼻水の場合は要注意です。
副鼻腔炎は鼻の周囲にある骨の空洞で、鼻と細い管を通じてつながっており、細菌がその管を通過して副鼻腔内に侵入し感染を起こすものです。
その他の症状としては、頭痛・頭の重い感じ・頬の痛み・歯の痛み・鼻水がのどに下がる感じ・痰・咳などがあげられます。
また放置すると鼻から耳の方にまで細菌が広がって中耳炎を引き起こし、耳痛・難聴などを引き起こします。
細菌感染の原因となる菌は肺炎球菌・インフルエンザ菌などで最近予防接種が行われていることから以前ほどの重症の患者さんは見かけることは少なくなりましたが、子供の場合は免疫力が十分ではありませんので鼻の症状が長く続きます。
抗生物質を服用すると改善しますが、抗生剤の効きにくい耐性菌も増えております。
治療は内服以外にも鼻の処置が重要で、吸入治療は内服薬よりも直接鼻の中に高い濃度の抗生物質を投与できることから効果が高いと言われております。
まず耳鼻咽喉科で診察をうけて副鼻腔炎であればしっかり治療すると意外に早く良くなりますよ。

以前に副鼻腔炎といわれしばらく通院していましたがあまり良くならずずっと放置しております。最近右の頬が痛くなり鼻血もでますが病院に行った方がいいですか?

A:
以前に副鼻腔炎と言われ放置していたとの事ですが、副鼻腔炎が慢性化すると薬による治療は困難になってきます。慢性の炎症は粘膜に持続的な刺激を与え、時にガンなどが発生する事がありますので注意が必要です。耳鼻科の領域でもタバコやアルコールなどの慢性の刺激によりガンが発生したり、舌が歯などで傷ついてガンが発生することも知られています。副鼻腔炎も同様で昔は副鼻腔炎の患者さんも多く、未治療で放置する方も多かった為上顎ガンがよく見られました。最近では副鼻腔炎をきちんと治療される方が増え、また衛生環境も良くなった結果、未治療の副鼻腔炎は減少し上顎ガンも減ってきております。慢性副鼻腔炎といわれても痛みが改善しなかったり、特に片方の鼻だけが詰まったり鼻をかむたびに出血するなどの症状が続くようでしたら、腫瘍の可能性もありますので耳鼻咽喉科に受診をお勧めいたします。