中耳炎

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1歳の子どもが頻繁に中耳炎にかかります。保育園で風をひきやすいのが原因と言われますが予防法はないのでしょうか?

A:
急性中耳炎は風邪などを引き金として発症し、しばしば反復したり治りにくくなる病気です。
まず中耳炎を含めた感染症のリスク因子として集団保育の問題があげられております。
2歳ころまではお子さんの免疫の力はまだ十分ではなく免疫力のついた年長児では感染症を発症しなくても1歳代のお子さんに細菌が伝播すると感染症を発症します。
その意味で母乳はお子さんの足りない免疫を補充するのに非常に効果が高いと言われております。
また治療に抗生剤を服用しなければなりませんがきちんと服用できていないと抗生剤の効かない耐性菌が増えてしまい中耳炎が治りにくくなる原因の一つとなります。
さらに風邪をひいて鼻水を放置すると中耳炎を起こしやすくなりますので市販の鼻水吸引器具で鼻を吸い取ってあげるのも効果的です。
また父母の喫煙は粘膜の炎症の悪化要因になりますので禁煙してください。
肺炎球菌は中耳炎の一番重要な最近ですがワクチンがありますのできちんと接種してください。
このような対策を講じても中耳炎を繰り返す場合は正常な免疫の力があるかどうか小児科などで検査をうけてみてはいかがでしょうか?

子どもが中耳炎で耳鼻科に通院中ですがなかなか治りません。上手に鼻をかめないようで鼻をすすってばかりいるので治らないと言われました。鼻を上手にかむように教えるにはどうしたらよいでしょうか?

A:
中耳炎の原因として多いのは風邪や副鼻腔炎で鼻水が多くなり、うまく鼻をかむことが出来ずに鼻をすすったりすると耳と鼻をつなぐ耳管から中耳に鼻水が入り込んで感染を起こしてしまいます。
ですから、鼻を上手にかむことは中耳炎の治療に非常に重要です。
お子さんは鼻から息を出して鼻をかむことが出来ないことが多いので、まず鼻から息を吐き出す練習が必要です。
鼻をかむトレーニングの小道具として「はなかむぞう」などの練習器具も販売されておりますので購入して練習してみてはいかがでしょうか?

1歳5か月の男の子が鼻を出し、寝ると鼻がつまり、高熱を出して病院に行ったら中耳炎と言われました。1か月に一度は専門の耳鼻科にかかったほうがよいでしょうか?保育園を休ませるのが多いと大変です。

A:
中耳炎は中耳に細菌が侵入して起こりますが、多くは風邪が原因となります。
1歳前後のお子さんはまだ細菌と戦う免疫力が十分ではありませんので、簡単に中耳炎になり、なおかつ中耳炎が治りにくい特徴があります。ただ、3歳くらいになって免疫力がついてくれば、徐々に中耳炎にかからなくなります。
保育園などに入った直後は、年長のお子さんから様々な細菌をもらいやすく、また抗生剤の効きにくい耐性菌をもらうリスクもあります。
できるだけ、2歳未満のお子さんは保育園の入園はお勧めしませんが、無理であればお子さんが成長し、免疫力が発達するまで根気よく通院していただくしかありません。
通常、中耳炎で用いられる抗生物質は残念ながらあまり味はよくないものが多く、お子さんに飲ませるのが大変かもしれません。
また、効果を確認しながら投与しますので、週に1・2回の通院が必要です。
中途半端な抗生物質の服用はかえって耐性菌を増やす結果になります。
ある程度菌を予想して抗生物質を出しておりますので、我慢して飲ませて下さい。
急性中耳炎の主な症状は耳の痛み・発熱・難聴などです。
最初は非常に強い痛みが出ますので、すぐに病院を受診しますが、抗生物質を服用すると痛みが改善しますので、お子さんの場合は特に症状を訴えなくなります。
しかし、中耳に菌の死骸の浸出液が残存し、難聴が続き、この状態を放置すると滲出性中耳炎に移行し、慢性中耳炎に進行すると難聴の後遺症が残ります。
そのため、病院で治ったと言われるまできちんと治療する必要があります。
年齢によっても治り方に差が出ますが、1歳ですとさらに数カ月かかる場合もありますので根気よく通院して下さい。

1歳の子供が中耳炎になり抗生物質を出されましたが、おいしくないのか中々飲んでくれません。また、保育園に行っているのでお昼は飲めません。いつも風邪のときに出される抗生物質はおいしいのか飲んでくれるのでそちらの抗生剤ではだめなのでしょうか?

A:
抗生物質は中耳炎などの細菌による感染症で使われるお薬です。同じ抗生剤を続けているとそのお薬に対して効果の出なくなる耐性菌とよばれる菌が増加します。また通常中耳炎で用いられる抗生物質は残念ながらあまり味はよくないものが多く、お子さんに飲ませるのが大変かもしれません。しかし中途半端な抗生物質の投与はかえって耐性菌を増やす結果になるため工夫しながら飲ませてください。1日3回のお薬が多いのですが回数は厳守してください。抗生物質の飲む回数を減らすとまた耐性菌の増える原因となるのです。また味がいい抗生剤ばかりを繰り返し飲んでいるとやはり耐性菌が出てきます。ある程度ばい菌を予想して抗生物質を出しておりますので、我慢して飲ませてください。実はこれだけ医学が進歩しても残念ながら最近新しい抗生物質が開発しにくい状況が続いております。細菌は地球上で人間よりはるか以前より生きながらえており、遺伝子変異を繰り返しながら外敵に対して生きながらえるすべを持っています。我々が抗生物質を次々に出してもさらにそれに打ち勝って強い菌が登場してしまう現実があります。むしろ感染症に対しては免疫力をつけて細菌感染に打ち勝つ防御が重要でありそのためには予防接種が必要です。最近では中耳炎の原因として最も重要な肺炎球菌に対するワクチンも出ております。是非お子さんにうけさせてください。

時々耳に水がたまり病院で中耳炎と言われ鼓膜を切って水を抜いたりしています。薬ももらって飲んだりしていますが風邪を引いた後や飛行機に乗った後等もよく中耳炎になってしまいます。何か予防法などありますでしょうか?

A:
耳と鼻の奥とをつなぐ耳管(じかん)という管が詰まり気味になると中耳に液が湧き出てきて液がたまり聞こえが悪くなる滲出性(しんしゅつせい)中耳炎になります。耳管の炎症が原因で風邪などの後におこります。また飛行機などに乗った際に唾をのんだりしたときに耳管が一瞬開いて耳の気圧の調整をする役割もありますが耳管が詰まり気味になると気圧の調整ができず中耳の気圧が下がったままで中耳炎になる場合もあります。このような耳管の障害に対しては一時的に耳管の出口を薬を使って広げたり、耳管の出口から空気を耳に送って耳管を広げる方法もあります。耳管の通気治療は昔は病院に通って医師が鼻に金属製のカテーテルを耳管の出口に入れて行っておりましたが最近はオトベントという器具を使って自分で空気を通すことができます。飛行機を降りた後に耳の聞こえが悪い時などに効果的です。鼻をつまんでいきんで耳管に空気を通す方もおりますが無理に力を入れすぎると内耳に穴が開いてめまいや難聴を引き起こすことがありますので安全な医療器具を使ってください。