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最近ダイエットをして10kg位痩せたのですが、耳の聞こえがおかしくなり、自分の声が耳に響いて聞こえたり深呼吸をすると呼吸の音も耳に響きます。前かがみになると治るのですが耳がつまっているのでしょうか

A:耳の中耳とのどをつないでいる耳管は通常は閉じた状態ですが唾を飲んだりした時に一時的に開きます。飛行機に乗った時に中耳と外界の気圧の差ができた場合はこの耳管が開くことにより気圧の調整をします。耳管の周囲には脂肪組織が囲んでいますが急激な減量をおこなうと、この脂肪が少なくなり耳管の周囲にすきまができて耳管が開いた状態になります。耳管開放症と呼ばれる病気です。この病気は自分の声が耳に響いたり、呼吸音が響いたりすること、前かがみの姿勢になると頭の方に血液が移行して耳管の周囲がむくんだ状態になり開いている耳管が閉鎖して症状がとれるという特徴があります。これとは逆に耳管が閉じたままで唾を飲んでも耳管が開かない病気を耳管狭窄症といいます。耳管狭窄症の方は急激な気圧の変化に対して中耳の圧の調整ができないために飛行機に乗ったときや水中に潜ったときなど鼓膜に圧がかかり強い痛みがおこります。いずれの病気も似たような症状がおこりますが耳管の検査をすると区別がつけられます。耳管開放症に対しては漢方薬や点鼻薬による治療、鼓膜にテープをはる治療などを行いますが、急激な減量に対してのコントロールが重要です。一度耳鼻咽喉科で検査を受けてください

おたふくで難聴になることがあると新聞で見ました。本当ですか?

A:おたふくは正式にはムンプスというウイルスによる感染で起こる病気です。 一般的は、耳の下が腫れて熱が出る病気として知られており、あまり恐ろしい病気であるとは考えていない方も多いと思います。しかし、このウイルスは様々な合併症を起こすことで知られており、もっとも重大なのは髄膜炎で命にかかわる重篤なものです。またそのほかにも卵巣・精巣の炎症や難聴もあります。 問題なのは、この難聴になると残念ながら治療法がないことです。 従来は非常にまれな合併症と思われておりましたが、最近の研究では数百人に一人は起こることが分かってきました。 対策としては予防接種しかありません。まだおたふくにかかっていないようでしたら、是非予防接種をお勧めいたします。

最近家族から聞こえが悪いので補聴器勧められ買いました。ただ補聴器をしても最初はうるさすぎたので音を小さくしてもらったら今度は聞こえなくなりました。補聴器が合わないのでしょうか

A :補聴器をつけると眼鏡と同じようにすぐに聞こえるようになると思われている方が多いようですが実はリハビリが必要です。音が耳から入るようになっても脳が言葉として理解する能力は長年の難聴ですっかり衰えており何を話しているか理解できない状況になります。高齢者の難聴は聞こえが悪いからと言って音を大きくしすぎるとうるさく感じる特徴があり補聴器の音の調整が非常に重要です。また最初は不快に感じても継続することによる脳トレいわゆるリハビリが重要と言われております。補聴器も万能ではありませんので多くの人が集まる所や騒音の多い場所では聞き取りが悪くなります。最近では騒音を低くしたり、テレビの音を直接補聴器が感知して音を大きくする機能などがついた補聴器も出てきました。ご本人の特に補聴器を使いたい場面での試聴が有効です。是非買う前に一度試聴をしていただける補聴器店で購入して下さい。

中学生の子供が音楽を大音量で聴いています。イヤホンを使っても周りに音が漏れる位なので難聴にならないか心配しております。難聴になった場合は早めに病院に行って治療を受けたほうがいいでしょうか

A :大きな音による難聴は音響外傷と言いますが耳の音を電気信号に変換する内耳というところが障害されて起こります。内耳は一旦障害されると回復は困難ですので治療法はありません。ですから難聴にならないように予防する事が重要です。騒音の多いところで仕事する方などではきちんと耳栓などをされていると思いますが音の大きさで80dB以上は危険です。また音を聞いている時間が長いほど障害が進み1週間当たり40時間以上で障害されます。ですから音楽を聴いている場合には音はできるだけ大きくせず使用を1日1時間未満に制限し長時間聞かないように途中で休憩をはさむことが重要です。難聴は徐々に進行するため最初は気づかないことも多く進行すると若くして補聴器のお世話になってしまうかもしれません。雑音の多いところで使用すると音量が大きくなってしますので周囲の騒音を低減する「ノイズキャンセリング機能」のついたヘッドホン・イヤホンを選ぶこともよいと言われております。WHOも世界的に急増している難聴として警告しております。
気を付けてください。

父親が最近受け答えがおかしく聞こえが悪いのか、認知症なのかはっきりしません。

A:難聴と認知機能低下との関連は多くの研究で示されており、補聴器の使用が認知機能低下を抑制するとの研究報告も見られます。補聴器の使用率は国によって異なり日本の難聴者率(自己申告)は11.3%と、欧米諸国に比べて大きな違いはありませんが「難聴者の補聴器使用率」は13.5%と欧米諸国に比べて圧倒的に低くなっています。イギリス、ドイツでは福祉に対して独自の伝統・制度を持っているため、補聴器の販売・供給体制が社会に定着しています。アメリカでは公的補助がないにも関わらず補聴器の使用率は日本の倍以上になっております。日本では多くの自治体で70dB以上の高度難聴者しか補聴器費が助成されために助成の対象とならない中等度難聴者の補聴器使用率は低くなっております。また補聴器価格が片耳当たり概ね15~30万円と高額で、保険適用がなく、全額自己負担で約9割は自費購入していることから、特に低所得 の高齢者への配慮が必要ですが今のところ補助制度はありません。高齢になっても生活の質を落とさず、心身とも健やかに過ごすことができ、認知症の予防、ひいては健康寿命の延伸にも補聴器は必要と思います。可能であれば補聴器の使用を検討してみてはいかがでしょうか

5歳の子供が半年前から滲出性中耳炎といわれ病院に通院しております。なかなか改善せずチューブを入れる手術の話をされました。なるべく手術は避けたいのですが他に治療法はないのでしょうか

A: 滲出性中耳炎は鼓膜の奥にある中耳という部屋に液体が貯留して難聴が起きる病気です。耳が詰まった感じになりしきりに耳をいじったり、テレビなどを見るときに音を大きくしたり、テレビに近づいてみたりする場合があります。痛みなどはなく、よく注意しないと気づきにくいため、子供の場合は難聴を訴えられなかったり、難聴の状態に慣れてしまって訴えなかったりするため中耳炎に気づかずに放置され、大きくなって学校検診などで発見される場合もあります。一般的に滲出液の排泄を促すお薬を服用して様子をみますが中耳は鼻の後ろの方にある咽頭と耳管という管でつながっておりこの耳管を通じて浸出液が排泄されます。様々な理由で耳管の通りが悪くなると中耳炎が改善しない場合があり鼓膜にチューブを入れる手術も選択肢になります。中耳の液の出口が耳管の1か所であるため中耳に空気の流入が起きにくく中に溜まった液も出ていきにくいわけですがチューブを入れることによりチューブを通じて中耳に空気が入り耳管から液が排泄されます。実は耳管の通りが悪い場合に耳管の出口から自分で中耳に向けて空気を入れるようにすると中耳の液体が出てきやすくなります。自己通気とよばれ医療用の器具がありますので5歳のお子さんでも可能です。チューブを入れる前に一度トライしてみてはいかがでしょうか

耳掃除をうまくできないのですがどのようにしたらよいのでしょうか

A:基本的には耳垢は特に耳の穴がふさがるような状態でなければとる必要はありません。特にお子さんの場合不意に動いて耳の外耳道を傷つけたり鼓膜に穴が開いてしまったりすることもありますので無理しないでください。外耳道は耳の入り口から約1cmほどが皮脂腺のある軟骨部でその奥2cmが骨部に分かれます。耳垢ができるのは軟骨部のみなのですが、綿棒を使うと逆に耳の奥に耳垢を押し込んで取れなくなる方が多いようです。本来耳垢は奥から耳の入り口に向けて動いており耳の皮膚についた老廃物と共に耳の外に自然に移動してとれるものです。また耳垢には殺菌作用もあり過剰に耳垢をとると外耳道の感染が逆に起こりやすくなります。どうしても取れない場合は耳鼻咽喉科に受診してください。外耳道は太さが7㎜程ですが、いじりすぎると耳の穴が腫れて太い綿棒が入りにくくなります。そのような場合は無理に綿棒などは入れずにしばらく触らないようにしてください。
耳をいじりすぎて傷つきかさぶたができたのを耳垢と勘違いしてさらにいじる悪循環を起こしている方もよくみられます。傷から細菌が感染して外耳炎を起こしひどくなると痛みや耳だれが出てきます。その場合には耳鼻咽喉科に受診してください。

1歳の子どもが頻繁に中耳炎にかかります。保育園で風邪をひきやすいのが原因と言われますが予防法はないのでしょうか?

A: 急性中耳炎は風邪などを引き金として発症し、しばしば反復したり治りにくくなる病気です。まず中耳炎を含めた感染症のリスク因子として集団保育の問題があげられております。2歳ころまではお子さんの免疫の力はまだ十分ではなく免疫力のついた年長児では感染症を発症しなくても1歳代のお子さんに細菌が伝播すると感染症を発症します。その意味で母乳はお子さんの足りない免疫を補充するのに非常に効果が高いと言われております。また治療に抗生剤を服用しなければなりませんがきちんと服用できていないと抗生剤の効かない耐性菌が増えてしまい中耳炎が治りにくくなる原因の一つとなります。さらに風邪をひいて鼻水を放置すると中耳炎を起こしやすくなりますので市販の鼻水吸引器具で鼻を吸い取ってあげるのも効果的です。また父母の喫煙は粘膜の炎症の悪化要因になりますので禁煙してください。 肺炎球菌は中耳炎の一番重要な細菌ですがワクチンがありますのできちんと接種してください。このような対策を講じても中耳炎を繰り返す場合は正常な免疫の力があるかどうか小児科などで検査をうけてみてはいかがでしょうか?